気になる病気・症状
朝起きたら心臓がバクバクする…これはバセドウ病(甲状腺機能亢進症)かも?遺伝する病気?
「寝起きに心臓がバクバクする…この動悸、なにかの病気かもしれない。」
経験がある方は、不安に思ってしまいますよね。
なかには動悸で目がさめて、とても恐怖感を覚えた方もいるようです。
じつは寝起きの動悸は、さまざまな病気の可能性があります。
寝起きの動悸から考えられる病気
1、自律神経失調症
寝起きの動悸から考えられる病気の中でも、多くの方がかかっていると予測されるのが自律神経失調症です。自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経からなる、自律神経のバランスがとれなくなっている状態です。
自律神経失調症になると、急に心臓の鼓動が早まることもあります。寝起きの動悸もそのひとつと考えられます。
2、バセドウ病
バセドウ病とは、甲状腺の働きが過剰に活発化する病気で、寝起きの動悸が症状のひとつとして出てきます。
バセドウ病のその他の症状には、汗をかきやすい、体重が減る、高血圧などがあるので、注意してみてみてください。
3、心臓病
動悸があると、まず考えるのは、心臓病ではないでしょうか。実際に、寝起きの動悸をともなう心臓病には、心筋炎や心房粗動などさまざまな病気があります。バセドウ病のように、ほかに顕著な症状が出ない場合もあり、見わけるのは難しいです。
寝起きの動悸の原因となる病気には、心臓病、バセドウ病などがあります。多くの場合は、自律神経失調症と考えられます。
バセドウ病の場合には、体重の減少や高血圧など、ほかの症状も出ます。
心臓病では、ほかの症状があまり出ません。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の初期症状とその原因
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)という病気を耳にしたことはあるでしょうか。バセドウ病の初期症状とその原因、治療について見ていきましょう。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)とは
バセドウ病は自己免疫疾患(Ⅱ型アレルギー)のひとつです。
英語圏ではグレース病と言われています。
発症は女性に多く、男女比は1:4で、年齢は20~40代が中心です。
発症する人には何らかのアレルギーを持っている人が多いです。
初期症状
バセドウ病の代表的な初期症状を挙げますが、記載した症状全てが出るわけではなく、患者によって個人差があります。
・甲状腺が腫れて首が太くなる
・脈が運動しているかのように早くなる(頻脈)
・動悸・眼球突出
・多汗
・手指の震え
・倦怠感
・眠い
・食べているのに痩せてしまう
・精神不安
・イライラ
・無月経
原因
血液中に甲状腺ホルモンを刺激する抗体がたくさんでき、甲状腺のはたらきが活発になり、血中の甲状腺ホルモンが過剰になります。
その影響で様々な症状が身体にあらわれます。はっきりとした理由はわかっていませんが、過度のストレスや過労が原因とも言われます。
家族に発生しやすいことから、遺伝的な体質が原因とも言われています。
治療
1:薬物療法
甲状腺ホルモンの合成を抑える抗甲状腺薬を服用
2:手術
甲状腺を一部残して切除しホルモン分泌を抑える
3:放射線ヨード
服用することにより甲状腺組織を破壊する
基本的には1の薬物療法が行われています。
発疹や肝臓障害、発熱などを起こす副作用があります。
ひどい副作用が出た場合は薬の服用をやめ、抗生物質や副腎皮質ホルモンなどを投与します。
3は甲状腺機能低下に陥りやすいという欠点があります。
発症初期に安静にすると症状が抑えられる効果があるといいます。気になる症状がでたらすぐに専門医にかかり、なるべく安静にするようにしてください。
家族がバセドウ病だと気になる…バセドウ病は遺伝する病気?
自分の家族がバセドウ病だったり、親戚にバセドウ病の患者がいるともしかして自分も…と思ったりするかもしれません。また、自分自身がバセドウ病にかかっている場合は子供に遺伝しないか不安ですよね。
バセドウ病と遺伝についてはいくつかの研究があります。
●バセドウ病は自己免疫疾患
まずバセドウ病と遺伝の研究についてみる前に知っておきたいのがバセドウ病は自己免疫疾患のひとつであるということです。
自己免疫疾患というのは自分の体を自分で傷つけてしまう疾患のことです。アレルギーなどがわかりやすいですが、自分の体に入っても問題のない成分に過剰に反応して発疹や発作を起こします。
バセドウ病の場合は自分の体の一部である甲状腺を異常なほどに刺激する自己免疫が働いているのではと言われています。
●バセドウ病と遺伝
バセドウ病と遺伝に関する研究を京都大学が行いました。その結果分かったことは兄弟姉妹、実親、実子の誰か1人以上にバセドウ病がいる『家族性バセドウ病』の患者はバセドウ病患者全体の2-3%ということです。
家族性バセドウ病家系ではそうでない人に比べてバセドウ病になる確率が最低でも19倍は高いということもこの研究によって明らかになったことです。
●自己免疫疾患的な体質遺伝の可能性
バセドウ病を発症する遺伝子というのはいまだに見つかっていません。ですが家族性バセドウ病がある以上考えられるのは体質遺伝の可能性です。
自己免疫疾患は体質が遺伝しやすいことがわかっています。アレルギーになりやすい体質、喘息になりやすい体質などです。
バセドウ病の場合もそれと同じでバセドウ病そのものではなくバセドウ病になりやすい体質が遺伝している可能性が指摘されています。
体質の問題の他に過度のストレスや生活習慣などいくつかの要因が重なってバセドウ病を発症する確率が高いようです。
バセドウ病は遺伝しやすい病気ですが病気自体の遺伝ではなくバセドウ病になりやすい体質の遺伝の可能性が高いです。
そのため、体質に環境要因がプラスされると発症率が高まるのではないかと言われています。
自己免疫疾患のバセドウ病は遺伝する?しない?
◆バセドウ病は自己免疫疾患
バセドウ病は自己免疫疾患のひとつです。
自己免疫疾患とは本来は身体が自分を守るために体内に入ってきた異物に対して発動する免疫システムが自分自身の細胞や臓器を敵とみなし攻撃してしまう症状です。
バセドウ病も自己免疫疾患とひとつで、その他の自己免疫疾患として挙げられるのは慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、円盤状エリテマトーデス、多発性筋炎、多発性血管炎、シェ―グレン症候群、突発性粘液水腫、悪性貧血などがあります。
◆バセドウ病はどのようにして起こるか
バセドウ病が異常をおこすのは身体のなかの甲状腺という場所です。
甲状腺は脳の下垂体によってコントロールされながら、必要に応じて甲状腺ホルモンを血液中に放出したり貯蔵したりしています。
バセドウ病になると本来ならばウイルスや細菌など異物から自分を守るための防御システムである免疫というシステムが、自分自身を攻撃する自己抗体になり、正常な甲状腺を攻撃してしまいます。
すると攻撃された甲状腺は刺激をうけ、甲状腺ホルモンを分泌するように指令をうけたと勘違いし、永遠と甲状腺ホルモンを分泌してしまうのです。
この自己免疫疾患といわれる症状は内分泌器官では甲状腺に一番起こりやすいといわれています。
◆バセドウ病は遺伝性がある?
自己免疫疾患は遺伝的要因もあるといわれています。
日本人の場合、バセドウ病の人は「HLA-BW35」または「HLA-DR5」という遺伝子を持っているひとに発症しやすいといわれています。
しかしこのような遺伝子をもっているからといって必ずバセドウ病を発症するわけではないようです。
◆バセドウ病の遺伝率
遺伝子がまったく同じである一卵性双生児でも二人ともバセドウ病になる確率は35%です。
二卵性双生児ではわずか4%になります。
また、家族や親族にバセドウ病患者がいる場合、自分もバセドウ病になる確率は17%程度に過ぎません。
バセドウ病は遺伝的要因よりも、ストレスやウイルス感染などの環境要因が大きいのではと考えられています。
バセドウ病は遺伝すると心配している方も多いと思います。
しかし遺伝するのはバセドウ病ではなく、なりやすい体質であるといえます。それほど心配しすぎることはないのではないでしょうか。
(Photo by:http://www.photo-ac.com/)
著者: カラダノート編集部