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健康診断・健康管理

腫瘍マーカーは癌の早期発見には向かない?!知らないと恐い実際

人間ドックの『腫瘍マーカー』は癌の早期発見に繋がらない?

人間ドックを受けると、血液検査から簡単に癌の有無が判別でき、早期癌の発見に繋がるとして期待されている『腫瘍マーカー』ですが、実際医療の現場においては『癌に対する感度が低く、早期発見には繋がらない』とされているのをご存知でしょうか?

 

たとえ腫瘍マーカーの中で精度が高いものを使用しても、初期の癌(ステージ1)で陽性となる率は僅か20%未満で、大方のものは一ケタ台の陽性率であるとも言われています。

 

医師によると、このような初期癌に対して陽性率の低い腫瘍マーカーの結果を信頼して、定期的ながん検診に行かないことが最も恐いことである、とおっしゃっていました。

 

一度、腫瘍マーカーの結果が陰性と分かれば、安心して診断書もしまい込んでしまう方が多いと思いますが、詳しく知ることで他の検査方法を受ける必要性が感じられると思います。

 

以下では、腫瘍マーカーについての詳しい内容をご説明していきたいと思います。

 

腫瘍マーカーの歴史について

 

腫瘍マーカーの歴史は、古くは1848年に骨髄腫患者の尿中にBence Jones蛋白という物質が発見されたことが始まりとされています。それ以来、現在でも癌の再発検査に有用とされており、様々な臓器に対応できる『CEA』や肝臓・子宮などの癌に特異性のある『AFP』などが続々と発見され、この際に確立された抗原の抽出方法が、現在の腫瘍マーカーの開発の基本となっていると言われています。

 

また、1975年には『モノクローナル抗体』という人工抗体の作製法が確立され、腫瘍マーカーの開発が飛躍的に広がり、実用化に向けられました。

 

現在までに大きく分けて4段階の発見がありますが、個々の腫瘍マーカーに関しては感度(確定性)や特異性(除外性)が低い(早期の小さな癌には向かない)ものの、多様な種類の抗原が登場することによって、いくつかのマーカーを組み合わせて検査を行うことで、徐々に精度が上がってきたと言われています。

 

<第4世代までの発見>

◆第一世代(1960年以前)

Bence-Jones 蛋白、hCGなどが発見される。

 

◆第二世代(1960年代)

肝癌マウスの血中にAFP発見、大腸癌組織よりCEA発見される。

 

◆第三世代(1970~1980年代)

『モノクローナル抗体』技術により、糖鎖抗原が発見される。

 

◆第四世代(1990年代以降)

癌遺伝子、癌抑制遺伝子の産生物、HER2蛋白、p53蛋白などの発見。

 

腫瘍マーカーを知るための基礎知識

<腫瘍マーカーの個別の名称(アルファベット)について>

腫瘍マーカーはアルファベットと数字の羅列で、何を意味しているのか分からない為、理解し難いという方も多いと思います。しかし、アルファベットの最後の文字は、その物質が何であるのかを示しているため、この部分を読むと理解がしやすくなります。

 

『CEA』のように、最後にAが付いているものがAntigen「抗原」、『AFP』のようにPが付いているものがProtein「タンパク質」又はPeptide「ペプチド」(ALP、PAPに関してはPhosphatase「酵素」)です。

 

<採血によって腫瘍の有無をどうやって鑑別している?>

腫瘍マーカーは、血液・尿検査によって診断されますが、その手法とは以下のものです。

 

1)採血した後、遠心分離で血清を取り出し、この中に含まれる『抗原』を調べる。

2)その後、抗原に応じた人工抗体(モノクローナル抗体)を血清に投入。

3)癌であれば、人工抗体に抗原が大量に付いてくる。

 

<抗体とは?>

体内の『抗体』と聞くと、アレルギーなどに代表されるような外来の抗原物質を捉える物質と言うイメージがありますが、この抗体というのは細胞などではなく、Y字型をした糖たんぱく質であり、細胞膜の上に一本の毛のように突き出している形状をしています。(糖=突き出し部分、タンパク=細胞膜内部)

 

⇒人工抗体はこれをモデルに、人工のビーズに糖タンパク抗体をくっ付けたもので、これが抗原をキャッチします。癌特定物質が大量に付いた際はその疑いがあると言えます。

 

<腫瘍マーカーにおける抗原とは?>

通常、抗原は外来の細菌やウイルス、異物などのことを指しますが、腫瘍マーカーにおいては自身の体内細胞から癌が発生した際に大量に流出する物質(「糖鎖」「ペプチド」「酵素」「ホルモン」)などのことを指します。

 

これらが各部位の細胞から遊離して血中に流れ出て、これを採血し抗体と結合することで、癌の疑いがあると診断されます。

 

腫瘍マーカーの使い方をどのように考えるか

最初でも述べましたが、腫瘍マーカーは、早期発見には有用であると考えられておらず、その理由は早期癌(ステージ1)においては高確率で値が上昇する腫瘍マーカーがないためです。

 

ステージ1の段階の腫瘍マーカーの陽性率は、一般的に数%~20%未満であると言われています。2,3とステージが高まるにつれ、陽性率も高まります。

(例:CYFRA21-1の乳がん陽性率はステージ1では18%⇒ステージ3では48%に上昇)

 

多くは再発などの術後の経過を確認するために用いられると言われます。医師が腫瘍マーカーをどのような用途で使用するかは以下の3点とされています。

 

医師が腫瘍マーカーを使う目的

◆CTなど画像診断で発見された腫瘍が、良性か悪性か確認するため。

癌が疑われた時、通常『胃カメラ、大腸カメラ、エコー、CT、MRI』などを行い、その補助として腫瘍マーカーを使うのが一般的とされます。画像診断を解釈するときの補助に、非常に有用であると言われています。

 

例)2人(A、B)の患者のMRIを撮影すると、どちらも膵臓に腫瘤があった。これが癌細胞であるのかどうかの鑑別が難しい時、血中の腫瘍マーカーを測定する。陰性となるボーダーライン(カットオフ値)が30U/mlであるとき・・・

 

A⇒20U/ml、B⇒1500U/mlの場合

Bさんはカットオフ値の50倍も高い値であるので、偽陽性でないと考えられ、癌と診断される。(Aさんは、さらに精査が必要)また、いくつかの腫瘍マーカーを組み合わせて使うことで、診断率も上昇する。

 

◆再発していないか経過を追うため。

CTなどの画像診断は、以下の理由で頻繁に行えないため、経過の確認として代わりに腫瘍マーカーが使用されます。

 

1)画像診断は高価である

2)予約が混雑している

3)放射線被曝量が高くなる

4)通常、頻回には画像診断を行わない(年に1-2 回程度)

 

◆完全に除去出来たかの確認のため。

術後、肉眼では腫瘍が除去できたと判断された場合であっても、腫瘍マーカーが1ヵ月後も高値である場合などは、目視できない小さい癌転移の可能性があります。この場合は、画像診断より有効とされています。

 

腫瘍マーカーの代わりに、早期発見のためにはどのような対策を採ればよいか、ということですが、これにはやはり定期的にがん検診に行くことが勧められています。

 

また、近年では10mm以下の癌発見には『PET検査』や遺伝子検査『CanTect』などが有効とされていますが、非常に高額であるという難点があります。

 

いずれにしても、腫瘍マーカーを受診しておけば、問題ないという考えからは抜け出す必要がありそうです。

(photoby://pixabay.com/)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-03掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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