男性のカラダの悩み
精巣にできる2種類のできもの、睾丸炎と副睾丸炎の違いとは?
間違えやすい睾丸炎と副睾丸炎
睾丸に痛みを感じる疾患に睾丸炎と副睾丸炎があります。
これらの疾患はその名が示すとおり非常に密接な疾患ではありますが、原因までさかのぼると明確に異なる疾患です。
睾丸と名がついていても副睾丸炎は睾丸の上部についている渦巻き状の器官の炎症であり、その原因もいわゆる性病関連の細菌感染によるものとなります。
そして睾丸炎は、性病ではなく他の感染症による影響から睾丸へ細菌感染が広がる間接的な感染症なのです。
■睾丸炎と副睾丸炎
●睾丸と副睾丸
睾丸とはいわゆる男性の精巣のことであり、副睾丸はその睾丸に隣接する渦巻き状の精巣上体を指します。
これらに細菌感染の炎症が起こると、それぞれに多様な症状を起こし、睾丸炎に副睾丸炎としてそれぞれ誤診しやすく、きちんと見分けてそれぞれの原因を治療することが重要となるでしょう。
●睾丸炎
精巣である睾丸が細菌感染による炎症を引き起し、赤くはれ上がり、激しい痛みを引き起します。睾丸に最近が直線感染することは稀であり、大抵が他の疾患から間接的に原因菌が血液を介して運ばれることによって引き起されるのです。
▼流行性耳下腺炎
いわゆるおたふく風邪のことで、この疾患にかかるとおたふく風邪の菌が睾丸にまで及ぶリスクがあります。
そして、成人になってからおたふく風邪が重症となると睾丸炎も重度になり、生殖機能を損なう危険も出てくるのです。
●副睾丸炎
副睾丸、すなわち精巣上体は睾丸から輸精管に精子を運ぶ器官であり、この部位の感染症の原因はおもに性病を引き起す細菌が原因である場合が多くなります。
もちろん、場合によっては性病以外の他の感染症や陰嚢の外傷などによる直接の細菌感染が原因である場合も考えられるでしょう。
おたふく風邪などが原因となる睾丸炎と、性病が原因の副睾丸炎は間違えると非常に問題が大きくなる可能性もあります。
睾丸の痛みを感じたら、素人判断することなく泌尿器科を受診しましょう。
急性精巣上体炎の治療期間はどのくらい?
副睾丸部分に炎症が起きる、それが急性の症状である場合を急性副睾丸炎、もしくは急性精巣上体炎と呼んでいます。急性精巣上体炎は大腸菌や緑膿菌が感染することで起きる場合がほとんどです。
●急性精巣上体炎の症状
急性精巣上体炎は炎症なので、陰嚢付近が腫れるのがもっともわかりやすい特徴です。陰嚢に痛みを感じるのも急性精巣上体炎の特徴で、触ってわかるくらいのしこりもあります。
その他、38℃程度の高熱が出ることもあります。重度の急性精巣上体炎では歩行が困難になることもあり、重度になる前に病院で治療をすることが大切です。
●急性精巣上体炎の治療
急性精巣上体炎は細菌感染によって起きる病気なので、細菌にアタックするのが最も適切な治療方法と言われています。
細菌を排除するための抗生物質を使うほか、熱がひどい場合や陰嚢の腫れがひどい場合には、保冷剤を使って痛みや辛さを緩和する治療も行います。
●どれくらいで治るの?
発熱もして、陰嚢の腫れもあるという急性精巣上体炎の症状は不快感が大きいです。そのため、できるだけ早く治したいところですが、どんなに急いでも5日はかかってしまいます。
治療を始めてから4-5日目で熱が下がってきます。治療開始から10日もすれば熱は完全に平熱になります。一方で陰嚢部分の腫れや痛みはなかなか引かず、人によっては3-4か月程度かかることもあるようです。
一般的には、陰嚢部の腫れが引くには最低でも1か月は必要と言われています。この期間は再度細菌感染しないように、ペニスを普段よりも清潔に保ってください。
急性精巣上体炎は陰嚢部にしこりや腫れが出来る、発熱するという症状を持つ細菌感染症です。
抗生物質などを使って治療しますが、最低でも熱が下がるまでに4日以上、陰嚢の腫れが完全に引くまでには1か月はかかると言われています。
精巣にできる二種類のできものの正体
精巣は男性のみにある器官であり、それもかなりの重要臓器でもあります。
臓器であるということはすなわち、胃腸などの臓器と同様様々な疾患や、腫瘍ができるリスクがあるということでもあるのです。
精巣にも血管を通っており、その血管に静脈瘤ができることは充分あり得ます。
また、精巣自体に腫瘍、つまりは癌ができる可能性も全くないわけではありません。
■陰嚢内のできものによる疾患
●精索静脈瘤
陰嚢内の睾丸に繋がる精巣静脈の中の逆流防止の弁が壊れ、静脈瘤となってしまう疾患です。
表面的には陰嚢の静脈が青黒く浮き上がって見える症状が出るだけで、痛みもほとんどありません。しかし、精巣の血行異常により不妊症を引き起すリスクが高く、重度になると手術も必要です。
▼男性ホルモンは正常分泌
不妊症の原因となる疾患ですが、精索静脈の異常であり男性ホルモンの分泌は正常であるため、勃起不全いわゆるインポテンスになる事はありません。単に男性の不妊症のリスクが高まると言うことなのです。
●精巣腫瘍
精巣に発生する悪性腫瘍、いわゆる癌のことです。
癌としては非常に稀な症例ですが、精巣自体の癌による影響は低くても、その他の部位への癌転移のリスクは非常に高いため、早急な治療を必要とします。
▼特徴
睾丸の表面にしこりができ、でこぼこな状態となる症状が現れます。また感覚的には癌ができた精巣が重く感じられる様になるのが特徴です。
疑わしい症状を自覚したならば、直ぐに泌尿器科を受診しましょう。
精索静脈瘤にせよ精巣腫瘍にせよ、場所が精巣であるだけに症状もほとんど無く、分かりづらい疾患となっています。
ですが、精索静脈瘤は不妊症となるリスク、そして精巣腫瘍も他の臓器への癌転移のリスクがある危険な疾患です。
陰嚢の異常に注意を払い、早期に発見、治療に移れるようにしておくことが必要でしょう。
交通性・非交通性の2種類の陰嚢水腫って?
赤ちゃんの16人に1人にみられる病気が陰嚢水腫という病気です。陰嚢水腫は睾丸を包む鞘膜という袋に液体が貯まる病気で、交通性・非交通性の2種類に分かれています。
●交通性・非交通性の陰嚢水腫とは
交通性の陰嚢水腫はお腹の中にある水分が陰嚢まで交通している陰嚢水腫、非交通性はお腹の水分以外で起きる陰嚢水腫です。交通性の陰嚢水腫にかかるのは、ほとんどが子どもです。
子どもは体がまだ未発達で、お腹と陰嚢がつながっています。そのため、お腹の水分が陰嚢に溜まるのです。
一方で非交通性の陰嚢水腫は、陰嚢の内側から液が出て、行き場をなくした体液が陰嚢に溜まって起こります。
●交通性・非交通性の陰嚢水腫の症状の違いは?
交通性にしても非交通性にしても、陰嚢水腫であればその症状に違いがでることはありません。
陰嚢付近が腫れているというのが陰嚢水腫の症状です。痛みはありません。もしも痛みがあるなら、陰嚢や精巣に関わる別の病気と考えられます。
●陰嚢水腫を見つけたらどうする?
交通性の陰嚢水腫は子どもに見られますが、子どもの中でも特に幼い1歳児までは陰嚢水腫の治療は滅多にしません。というのも、発達段階でお腹と陰嚢に分かれ目が出来れば、余計な水が溜まることもなく陰嚢水腫も治るからです。
生まれた時に陰嚢水腫が見つかって、1歳までに自然治癒する可能性は9割と言われています。赤子に陰嚢水腫を見つけても焦ることはありません。
大人の陰嚢水腫では注射で一時的な対処をするほか、足のつけねを2-3㎝切って液体を抜く手術もあります。
交通性の陰嚢水腫は子どもに起きやすく、非交通性の陰嚢水腫は大人に起きやすい病気です。溜まっている液体の種類は少し違うものの症状は同じで、腫れがあるほかは症状が出ません。子どもの場合は自然治癒の可能性も高いです。
発症から24時間以内が肝!精巣捻転症の治療
捻転するというのはひねり曲がってしまう様子を指しています。体の一部が捻転する病気では腸捻転がもっとも知名度があります。
腸捻転では腸がひねり、曲がることで腸内の物質が正しく循環しないのが問題です。
そして同じように体の一部が捻転する病気に精巣捻転症があります。
●精巣捻転症の症状
精巣捻転症で捻転するのは睾丸部分です。睾丸が回転するようにねじれるとつながっている血管や精管も一緒にねじれます。
ねじれが治らないと血管から精巣へ栄養が行き渡らなくなってしまうのでそのうち壊死します。
精巣が壊死すると精巣としての機能がなくなるので精子を生み出せません。
通常、精巣捻転症は左精巣か右精巣のどちらかにしか現れないのですが、両方の精巣で精巣捻転症が起きると男性不妊の原因ともなります。症状を具体的に言うと精巣が腫れ、ひどく痛みます。
●早期手術が重要
精巣捻転症は睾丸部分に起きた捻転状態をいち早く手術で治すことが重要な病気です。
精巣捻転症の手術のリミットは24時間以内と言われています。
精巣の腫れがあり、痛みもあるなら1日以内に病院へ行ってください。
できることなら8時間以内に手術を開始するのが望ましいです。そうしないと精巣が壊死してしまう可能性が高まってしまうからです。
●子どもによく見られる病気
精巣捻転症は生まれたばかりの赤子にみられることの多い病気です。
生まれてすぐに精巣が壊死してしまっていることがわかる場合もあります。
なお、精巣が壊死すると白血球値が高くなり、発熱します。
精巣捻転症は睾丸がねじれることで血管から栄養が行き渡らなくなり最終的に精巣が壊死する病気です。
大事なことは早期の手術で、精巣捻転症の症状がみられてから24時間以内に手術をしないと壊死の可能性が高まります。
原因が分かりにくい・・睾丸捻転症
睾丸の痛みを感じると、性病かもしくは睾丸炎などの疾患を想像すると思います。
どちらも細菌に感染することによって引き起される疾患で有り、対処も感染症に関するものとなる事でしょう。
しかし、単純に睾丸の痛みだけならば、全く異なる原因の疾患もあるのです。
それが陰嚢内のねじれ、睾丸捻転症となります。
■わかりにくい睾丸捻転症
●陰嚢の中でねじれる精巣血管
陰嚢の中で睾丸は、栄養血管が繋がっているだけでかなり自由にぶら下がっている状態となっています。その自由さにより時として栄養血管を軸として回転し、陰嚢内で精巣への動脈と静脈がよじれて血流が途絶えてしまう場合もあるのです。その状態を精巣捻転症と呼びます。
●原因不明でわかりにくい
この睾丸捻転症は、原因不明で有り、どのような動きや衝撃によってそのような状態になるのかはっきりとしません。そのため睾丸捻転症を発症する時はいつも唐突で有り、突然の睾丸の痛みに誰もが驚きパニックとなる事になります。慌てて判断することで、他の睾丸の病気と勘違いすることも多いのです。
●特に新生児の発症に注意が必要
陰嚢捻転症は、陰嚢のある男児ならば年齢に関係なく起こるリスクがあります。直ぐに陰嚢の異常を訴えることができる年齢ならば直ぐに対処も可能ですが、そうした訴えもろくにできない新生児には注意が必要となります。
新生児がむずかる原因が陰嚢捻転症であると即座に判断することは非常に難しいでしょう。
●睾丸の腫れに注意
睾丸に繋がる血管がよじれ、血流が停滞することによって睾丸が赤くはれ上がることが、睾丸捻転症であることを特定する症状としては弱くても、睾丸に異常がある根拠にはなります。あとは専門医の検査を速やかに受けさせましょう。
この睾丸捻転症はわかりにくい上に、症状が血流の停滞であることから放置することも危険な睾丸の疾患となります。
速やかに陰嚢内のねじれを解消しなければ精巣の機能にも問題が生じることになるので、早急な対策が必要な疾患なのです。
精巣の癌を引き起す!?停留精巣
精巣の癌である精巣腫瘍は、症状もなく他の部位に癌が転移しやすい危険な癌となります。
そのような癌には万全の予防を行なって奥にこしたことはありません。そこで、この精巣腫瘍となる原因の早期治療が重要となります。
精巣腫瘍となる主な原因は、停留精巣という精巣の異常によるものです。
この停留精巣は、本来なら陰嚢に位置するはずの精巣が、陰嚢まで降りてこず、ずっと腹腔内にとどまり続ける疾患となっており、それが精巣の腫瘍ができるリスクを向上させます。
■癌の原因ともなる停留精巣
●精巣の下降
精巣は胎児の時点では腹腔内に納められ、成長と共に下降し陰嚢内におりてくるようになっています。
この精巣の下降が正常に行なわれずに腹腔内にとどまる疾患が停留精巣です。
●陰嚢内の精巣が不在
停留精巣となってしまえば、精巣が陰嚢内に存在せず、腹腔内に成人してもとどまってしまうことになります。目立った症状と言えば、それだけですが、陰嚢内に精巣がない状態を放置することで、非常に危険なリスクを増大させることになるのです。
●治療には手術が必要
停留精巣となるのは、陰嚢底部に精巣を引き寄せる精巣導帯がつくことなく成長することによって発症します。
そのため自然に停留精巣が治ることは難しく、確実に治すには直接的な手術が必要です。
●精巣腫瘍のリスク増大
停留精巣は、精巣が腹腔内にとどまり続け、陰嚢内に存在しなくなるという異常な状態に固定されることとなり、それが精巣の機能を混乱させ、精巣に悪性の腫瘍、つまりは癌を発生させるリスクを増大させることになってしまいます。
●早期の治療が重要
精巣はその役割から細胞の分裂速度も速く、その変化も直ぐに現れる器官であるため、可能な限り早期に治療を始めることが重要となります。特に胎児の停留精巣など親が気をつけて見極め、医師に相談することが重要です。
停留精巣は、陰嚢内に精巣が不在と言うだけで症状もなにも無い疾患であるため、見逃されやすい疾患ですが、癌のリスクを考えれば早期に手術をしてでも治療することが望ましいのです。
(Photo by: http://www.photo-ac.com/)
著者: カラダノート編集部