気になる病気・症状
胃腸炎で処方される薬!薬選びのポイントは?胃腸炎に効く漢方!自宅でできる急性胃腸炎の応急処置とは
秋から冬にかけて流行するノロウイルスやロタウイスル等による感染性胃腸炎の集団感染が、学校や老人ホームで毎年起こっています。
これからの季節、急な発症に備えて、胃腸炎に適応する薬の紹介をします。
感染性胃腸炎の特徴
嘔吐や下痢を主症状とする細菌、ウイルスなどによる感染症で、ヒトからヒトへ接触感染、汚染物の摂取が原因で感染します。
感染性胃腸炎の薬
・整腸剤:ビオスリー、ビオフェルミン(腸内の環境を整え、下痢を止めます)
・制吐剤:プリンペラン、ナウゼリン座薬(胃の運動を整え、吐き気を抑えます)
・腹痛止め:セスデン、ブスコバン(けいれんを鎮め、痛みを抑えます)
・解熱剤:カロナール、ロキソニン(痛み・発熱を和らげます)
急性胃腸炎罹ったら
1)1~2日という短い期間だけ、突然嘔吐や下痢が起こるので、下痢止めや吐き気止めの服用は止めて、整腸剤を処方してもらいます。
2)脱水症状を起こしている場合は、スポーツドリンクを飲むように努め、ひどい場合は病院へ行きましょう。
3)食事は、おかゆや温かいスープを選ぶとよいでしょう。
■急性の細菌性胃腸炎
1)対処療法として、細菌が増えるのを防ぐ薬が処方されます。
2)乳幼児は、全身症状が強いので、抗生剤や整腸剤を服用します。
3)ビフィズス菌などの整腸剤で腸の調子を整えます。
■薬の副作用で起こる胃腸炎
ガンや心不全、不整脈、痛風の治療で使われる薬が嘔吐や下痢を引き起こす場合があるので、いったん使用を中止して様子を観察しましょう。
■急性のウイルス性胃腸炎
小さなウイルスが吐き気、嘔吐、下痢を3日間位引き起こしてます。初日の症状がもっとも激しくなります。
経口摂取が無理な場合、補液と吐き気を抑える制吐剤を経静脈的に投与します。
その後異常が無ければ、下痢によって奪われた水分を電解質を含んだ水分で補い、消化の良い食事をします。
胃腸炎の症状が現れても軽度な場合、脱水症状を解消しながら、絶食などして安静に過ごせば治ることが多いでしょう。
原因菌を身体から排出する防衛反応である嘔吐と下痢は、止めない方が早く回復することもあります。
個人差があるため、症状が重くなるようなら病院へ行きましょう。
急性ストレス性胃腸炎の治療薬ってどんなものがある?
ストレス性胃腸炎とは、ストレスが原因で、胃腸の調子が悪くなることを言います。自分ではさほどストレスと感じていないつもりでも、脳はストレスを敏感に感じ取り、胃酸を大量に分泌して胃粘膜を荒らします。
ストレス性胃腸炎は、胃の粘膜に支障が起こることで、食物が胃内に入ってきた時、胃酸が分泌されることによる胃痛を伴う辛い疾患です。
治療法としては次のようなものがあります。
1. 消化管運動機能改善薬・健胃剤の使用
胃の運動低下や唾液・胃液などの分泌量低下による食欲不振や消化不良などを改善するための薬を使用します。この場合は主に漢方薬が使用され、主なものとしてはウイキョウ、センブリ、ソウジュツ、コウボクなどがあります。
2. 胃酸分泌抑制薬・消化剤の使用
胃粘膜の壁細胞で胃酸分泌を調節しているH2受容体に直接作用して、過剰な胃酸分泌を抑える薬をH2ブロッカーといい、胃酸分泌抑制剤として使用します。
ラニチジン(ザンタック)、ファモチジン(ガスター)、シメチジン(タガメット)などがあります。
3. 抗うつ薬、抗不安薬の使用
ストレス過多や胃痛などによる辛さで、うつ症状を併発する場合もあり、またストレスそのものが直接胃酸分泌を促進させるため、軽い抗うつ薬や抗不安薬などを使用する場合もあります。薬剤としては三環系や四環系の抗うつ薬からSSRI、SNRI、NaSSAなど、様々なものがあります。
4. ピロリ菌を除菌するための薬物療法
胃がんを引き起こす原因菌としてピロリ菌が注目されており、ピロリ菌は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因ともなるため、できるだけ除菌することが推奨されています。薬剤としては、アモキシシリンとオメプラゾールを併用する方法があります。
症状に合わせて、以上のような治療法を併用したりしながら、症状を改善に導きます。現代社会はストレスで満ちており、そのストレスを一番敏感に感じ取る場所が胃腸だとされています。
ストレス性胃腸炎の場合はそのストレスの原因を取り除く、またストレスをうまくマネジメントしていくことが大切となります。
胃が痛い…!症状別!胃炎に効果のある薬選びのポイント
胃の痛みって、結構日常的なものですよね。ちくっと痛んだり、じわーっとのしかかるような痛み、絞られるように痛むことも。
医師にかかるほどでも、と薬局に向かえば様々な胃の薬。胃に効くのだからどれでもいいだろ、というのは実は間違い。適切な胃薬を選ばないと、逆効果になったりもするのです。
薬選びは、どんなポイントがあるのでしょうか。症状から適切な薬の種類を、ご紹介します。
症状別!薬選びのポイント
■胃がもたれる、食べ過ぎ → 消化剤
胃の中にある、余分な食物をお掃除=消化する必要があります。そこで、消化酵素を含むお薬を服用しましょう。でんぷん分解酵素のジアスターゼ、脂肪分解酵素のリパーゼなどが成分です。
■胸やけ、胃痛 → 粘膜修復剤
損傷した胃粘膜を修復したり、胃粘膜の再生力を高めることが目的。主成分としては、銅クロロフィンカリウム、スクラルファートなど。
■胸やけ、むかつき → 制酸剤
出すぎた胃酸を中和し、胃粘膜への刺激を抑えます。水酸化マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウムなど。
■胃痛、胸やけ、むかつき、もたれ → 酸分泌抑制剤(H2ブロッカー)
胃酸の分泌を抑えることで、胃粘膜への刺激を抑えます。
■胃が差し込むように痛いとき → 鎮痛鎮痙薬
胃の過剰な緊張、収縮を抑えることで、痛みを軽減します。成分は、ロートエキス、臭化ブチルスコポラミン、臭化メチルベナクチジウムなど。
■食欲がわかないとき → 健胃薬
生薬の成分によって、胃液の分泌を促すなどで食欲を増進します。オウバクなど。
■様々な症状に… → 総合胃腸薬
いろいろな成分が配合されており、主成分や成分の比率によって作用が異なります。
ざっと見ただけで種類がたくさんあります。特にH2ブロッカーは処方薬が市販されるようになったスイッチOTCであり、CMなどでも有名です。
しかし、胃酸を抑えるため、食べ過ぎなどによる胃部不快感には適しません。むしろ、消化を阻害してしまいます。また、解熱鎮痛薬、降圧剤などを服用していると、胃酸過多になることもあり、飲み合わせなども注意が必要です。
症状がいろいろあるように、薬もいろいろ、効果も様々です。医師や薬剤師と相談して、適切な薬を処方してもらいましょう。
急性胃腸炎の症状が酷い時は薬の服用も症状を悪化させる!?
急性胃腸炎になった時は、胃腸薬などを服用して2~3日安静にしていれば回復するものです。しかし、下痢や嘔吐が激しく、一日に10回以上も繰り返しているのであれば症状が酷い状態ですので、薬を服用しても直ぐに吐いてしまうでしょう。
胃に入ったもの全てが刺激に
急性胃腸炎の症状が酷い時は、胃腸薬などの薬を服用しても直ぐに吐いてしまいます。これは、胃の炎症が酷いために、胃に入ってきたもの全てが刺激となってしまうからです。
胃腸薬で状態を回復させようと思っても、それが逆に胃に負担を与えることとなり、かえって症状を悪化させることにもつながるのです。
薬の服用も控える
急性胃腸炎の症状が酷く、飲んでも直ぐに吐いてしまうような状態ならば、薬の服用も控えるようにしましょう。下痢止めや吐き気止めを服用する人もいますが、それがかえって胃や腸を刺激してしまうこともあります。
また、急性胃腸炎のときの下痢や嘔吐は有害なものを体外に排出しようという働きがなされている、体の防御反応でもあります。無理に薬を服用するよりも、服用せずに胃の炎症を早く回復させるほうが結果的に回復が早い場合もあります。
急性胃腸炎で病院を受診した際、医師に処方されたのであれば、飲んでも大丈夫だと思います。また、自分で薬局などで購入して服用しようと考えているのであれば、乳酸菌やビフィズス菌などを主成分としている整腸剤などがよいでしょう。
下痢や嘔吐を劇的にストップさせるものではありませんが、胃や腸への負担も少なくて済みますし、腸内環境を人体に有利に働かせる効果があります。
症状によって違う!胃腸炎に効く漢方
下痢におう吐に、発熱もともに…。
家族全員で胃腸炎、などということもあるぐらい、胃腸炎は流行しますよね。
漢方でも、胃腸炎対策は有効で、特にウイルス性胃腸炎に効くといわれています。
【下痢に対する漢方】
・胃苓湯(いれいとう)
体力がまだある人で、お腹のごろごろ、下痢、おう吐、腹痛など改善します。
・半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
お腹がごろごろし、下痢気味で食欲不振、げっぷや口臭がある場合に効きます。
・桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
普段から胃腸が弱い人向けで、お腹が張っているとき。便秘にも効く、排便以上を起こしているときに向きます。
・人参湯(にんじんとう)
胃腸の働きを高めます。特に、冷え性の人に効きます。
【おう吐に対する漢方 】
・五苓散(ごれいさん)
水分循環を改善し、無駄な水分を取り除きます。
吐き気やおう吐、下痢に対しても適応する漢方です。
喉や口が渇き、水分を欲しがる時によく効きます。
・小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)
吐き気やおう吐をおさえますが、胃に水分が停滞しているようなときに向くとされ、水分を欲しがらないときにも、処方されます。二陣湯(にちんとう)も同様です。
・六君子湯(りっくんしとう)
胃腸の働きを良くし、水分の停滞を改善します。胃もたれ、吐き気、食欲不振、軟便などの症状に向きます。
漢方は、食後に飲むことの多い西洋薬とは異なり、基本的に食間(食前)に飲みます。
適切な漢方を、適切な量・時間に服用しましょう。
温める、牛乳を飲む、薬を飲むなど…自宅でできる急性胃腸炎の応急処置!
急性胃腸炎になってしまったら、すぐに病院へ行ければ理想的です。しかし、それができない場合や、病院に行くほどではない軽い症状のときもあるでしょう。自宅でできる、急性胃腸炎が楽になる対処法を挙げます。
■温める
体が冷えていると、痛みを強く感じます。温めて血流を改善し、胃腸のはたらきを良くしましょう。冬や、クーラーを使用する真夏は、日ごろから体を冷やさないようにします。
簡単に温める方法は、カイロです。お腹の痛む部分にカイロをあてます。衣類に張るタイプのカイロを使用するのもお勧めです。素早く温めるにはドライヤーも有効です。服を着た上から温風を軽く当てましょう。どちらを使う場合も、低温火傷にご注意ください。
腹巻なら、穏やかに温めることができます。夏用の薄い生地の腹巻なら、服の上からも目立たないので便利です。
お腹だけではなく、太ももや足先など下半身を温めるのも効果的です。衣類や湯たんぽなどを活用して冷えを防ぎましょう。
■牛乳を飲む
胃腸炎では、胃の粘膜が弱って保護機能が低下し、胃酸によって胃がダメージを受けています。牛乳には胃壁を保護するはたらきがあります。ホットミルクにして少しずつ飲みましょう。
ただし、嘔吐や下痢が酷い場合は、控えてください。食べすぎが原因の急性胃腸炎も、避けたほうが良いでしょう。
■薬を飲むなら
受診をせずに胃腸薬を服用することは、あまりお勧めできません。急性胃腸炎の原因が分かりませんし、本当に急性胃腸炎かも定かではありません。
同じ急性胃腸炎でも、効く薬は違います。どうしてもつらい時は、「健胃薬」「整腸剤」に分類される薬を飲みましょう。
下痢止め・制吐剤は、体内の有毒物質を排泄する妨げになるので、飲まないでください。
ここに挙げたのは、自宅での応急処置です。症状が重いようなら、様子をみて病院へ行ったほうが安心です。
著者: カラダノート編集部